オニユリ

(別名 天蓋ユリ) ユリ科ユリ属

 今の白浜滝口郵便局があるところで、六人兄弟の末っ子の父は生まれ育ちました。
 父は医師として、ソ連国境に近い満州の辺境に赴き、幼い私は土地に嫁いだ伯母の家で、中学卒業まで養われました。
 通学路の途中にあったその家には、八十歳の、当時の私から見ればとんでもない長生きで、これ以上ないというほどに腰が曲がった祖母が一人で留守を守っていました。
 
 広い庭続きの畑に、桃、枇杷、夏みかん、すももなど沢山あって食糧事情の厳しいその頃、学校帰りに立ち寄って果物を貰うのが何よりの楽しみでした。
 但し美味しい話には汗が付き物で、風呂に水を汲んで行けとか、前の松林から薪を集めてこいとか、色々と用事が待っていました。
 その井戸たるや、風景画にあるような、楽に水くみが出来る『はねつるべ』ではなく、恐らく10メートルを超える深さですから滑車に綱を通し、両方に木製の釣瓶がついた実に重い水くみになりました。
 
 敷地の南はずれの、砂防のための松林の下に群生していたのが、このオニユリとスカシユリでした。
 今はスカシユリは絶えてしまって、このオニユリだけが毎年健気に咲いて、70年前の想い出を、つい昨日のことのようによみがえらせてくれます。

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by oantaka | 2014-08-01 21:00 | さざえのつぶやき
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日が山の端にかかる残り少ない時間。思い浮かんだあれこれの独り言です。


by pantaka
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