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孫たちへ 公方さまの食事

 江戸時代、長屋の八つぁん熊さんなど町人たちは「一日でいいから公方様のような暮らしをしてみたい」だったとか。
  徳川幕府の最高権力者だから、さぞわがままが許され贅沢三昧だろうということだね。
 私もそう思っていたけれど、江戸時代に明るい杉浦日向子さんの本を読んでいたら「え〜っ、そうなの?」と言うことが書いたあったので、受け売りを一席。

 6時に起床すると身支度を整え、仏壇にお参りして大奥の奥方に挨拶して部屋に帰り一人で朝食。
 おかずは梅干しや煮豆、焼き味噌などの一汁二菜。食事中にお小姓がひげそり。表情を変えたりするとお小姓が緊張して手元が狂うので無表情でモクモクと食べる。
 同時に内科医が6人!で健康状態をチェック。
 
 朝食後は当代一流の学者による講義を受ける。
 
 昼食も朝と同じ一汁二菜。午後は政務だが急用があれば昼食抜き。

 夕方、政務が終わると、これも一流の兵法者による武芸の稽古をみっちり。
 入浴後漸く夕食になるけれど、申し訳程度に焼き魚か煮物が加わる程度。
 しかも飯は、茹でた米を笊ですくって蒸したものでパサパサの状態。魚類も徹底的に脂を抜いた出がらしみたいなものというあんばいで、読むだけで食欲がなくなってしまう代物だったそう。
 おまけに好き嫌いや食べ残しはご法度で、そんなことがあると医者が飛んできたり、料理の役人がどやされたりするのだとか。

 これが分かってみると「さんまは目黒に限る」といった殿様の言葉がホントだなあと思えてくるね。

 それにつけても思い出すのは昭和天皇のこと。
 食糧事情がひっ迫していて、共産党が主導した皇居前の「米よこせデモ 」の頃だと思うけれど、記者会見で「陛下は何をお食べですか」という随分失礼な質問があった時、「雑穀の雑炊です」というお返事に、まさかと思った再質問に「これはわが家の家風ですから」と、ごく自然にお答えになったと。

 国の最高権威者と最高権力者が、何れも長い時代、私生活では清貧を実践する素晴らしい国に生まれて幸せだったとつくづく思うよ。

by oantaka | 2015-10-05 15:59 | さざえのつぶやき
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日が山の端にかかる残り少ない時間。思い浮かんだあれこれの独り言です。


by pantaka
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